
まちなかに潜む甲府城と城下町!
- 歴史
甲府城とその城下町は、お城を囲む三重の堀によって守られていました。
外側から順に「三の堀(町人や職人の住まいを囲う)」「二の堀(武士の住まいを囲む)」「内堀(城の中枢を囲う)」という構造です。
今の甲府の街並みには江戸らしい風情はあまり残っていませんが、実はお堀の名残がひっそりと潜んでいるのです。今回は「三の堀」から「二の堀」をたどりながら、甲府城の魅力的なスポットをめぐってみましょう!
甲府城の一番そと!三の堀を見つけよう
遊亀通りと交差する濁川。実はこの川こそ、かつての「三の堀」の一部です。まずは「みどりばし」に立ち、濁川に沿って西へ歩き出してみましょう。

川の護岸は近代から現代にかけて造られた石積み。丸い石がごろごろ積まれたところ、長い石が斜めに積まれたところ、正方形の石が横に並ぶところ…。さらにコンクリートで補強された部分もあり、その表情を見比べるだけでも目が離せません。まるで石積みの見本市!

少し歩くと三の堀はカクッと北へ折れ、民家の隙間に姿を消します。道路沿いに再び現れる石垣は、暗渠の下でひっそりと歴史をつなぎます。
江戸の街並みと現代が、ここで静かに重なっているのです。


マチナカに潜む二の堀
桜町通りを北上すると、駐車場や建物の隙間に細い水路が顔を出します。一見ただの水路ですが、実はこれが二の堀の名残。言われなければ絶対に気づかないほどのさりげなさです。
水路は建物の下を抜けながらも、ほぼ一直線に伸びていき、やがて「くろ玉」で有名な老舗菓子店「澤田屋」の地下へと入り込んでいきます。ちなみに、澤田屋さんは、この場所でリニューアルオープンした時、「二の堀」という限定菓子を販売されたそうです。私も食べてみたかった!

さらに411号線NTT甲府支店西の交差点を渡ると、岡島第二駐車場の西側にも再び水路が現れます。

民家等に遮られて途切れ途切れになっていますが、地図アプリを開いてみると、不思議なくらい一直線に繋がっていることがわかります。
「現代の甲府のまちなかに、江戸時代のお堀がまだ生きている」——そんな発見に気づいた瞬間、なんだか小さな感動が湧いてきませんか?
ご紹介した二の堀や三の堀の位置は、江戸時代の絵図や明治時代の地図をもとに、現代の地図と重ね合わせて特定・推定したものです。つまり「ただの水路」や「暗渠」に見える場所も、実は400年前から連なる歴史の痕跡なのです。
お堀の先へ!甲府城の推しはここだ!城内探索編
まちなかに潜んでいる三の堀、二の堀を追いかけてきました。ふだんはただの水路や土地のスキマにしか見えない場所が、実は江戸時代のお堀の名残。
さて、いよいよ舞台は甲府城本体へ。ここからは甲府城の「推しどころ」をたっぷりご紹介します!
まちのど真ん中で、石垣ドーン!
県庁のあたりを歩いていると、建物のすき間から甲府城の石垣が覗く場所があります。コンクリート越しに見える石。そんな過去と現在のコントラストに気付くと、まちの景色が少し違って見えます。
甲府城の石垣は、丘の上にそびえる三段構え。まるで山そのものを固めたかのように、どっしりと積み上がっています。約400年前に築かれたその石垣は、今も静かに、堂々と、まちを見下ろしているようです。

ゴツゴツ、だけどうっとり。
甲府城の石垣には、ほとんど加工されていない自然のままの安山岩が使われています。それらは黒くゴツゴツしていて、どこか無骨な佇まい。そうかと思えば、割れた断面に目を凝らすと、ほんのり青みがかった綺麗な灰色が。
鍛冶曲輪には、地表へむき出しになった岩盤が、まるで巨大な一枚岩のようにそびえています。その岩肌には石を切り出したと思われる痕跡も。このように岩盤から石を切り出した痕跡は、城内の複数箇所でも確認されており、それらの石が石垣に使われたと考えられています。
この硬い岩盤の上に石垣が築かれたからこそ、約400年たった今も力強くその姿をとどめているのかも。石材が豊富な甲府という土地の利も巧みに生かした、造り手たちの柔軟な機転が窺い知れます。

この穴なに?
石垣の石には『矢穴』と呼ばれる、歯形のような跡があります。これらは、クサビを打ち込んで巨石を割るため、ノミで長方形の穴をあけたもので、長辺約12cmと、古い時期の近世城郭に多い大きさです。多くの石に矢穴がありますが、特に注目してほしいのが、こちらの石。現地で探してみてほしい石No.1です。
よく見ると、周辺の石はおおむね2分割程度で割られていますが、この石は6分割くらいにしようとしている痕跡が…。なぜ6分割しようとしたのか、なぜ割るのをやめてしまったのか。こうした石を見ると、ただ運び積まれたというわけではなく、一つひとつ丁寧に考えられて積まれたのだろうという、想像が膨らみます。ひとつの石にも、きっと物語が宿っているのでしょう。


カドがキマってる!
角の一点を見ると、ゴツゴツと無骨な石が、秩序正しく組まれているのが分かります。この積み方は『算木積み』と呼ばれ、通常は角石が左右交互に規則正しく張り出すよう配置されます。しかし、甲府城の石垣は順番が乱れていたり、不安定そうな三角形の石が縦長に積まれていたりします。
自然石の角が立つものもあれば、ノミで角をつくり出したものもあり、無骨な石肌の中に直線が走る違和感がとにかくかっこいい!

ちなみに横から石垣の角を見ると、大半が直線的な勾配で最上部のみが反っているのがわかります。このような不揃いな積み方や、反りが少ないシルエットは古い城郭石垣の特徴で、甲府城では天守台の石垣がその代表例です。
ぜひこの場所でカメラを構えてみてください。青い空、愛宕山、稲荷櫓、そして黒くそびえる反りの少ない石垣のコントラストが映える、美しい写真が撮影できますよ。

まちなかで見つける、甲府城の偏愛ポイント
まちなかを歩きながら、三の堀や二の堀の名残を探すだけでも、400年前の江戸の景色や人々の暮らしがちらりと見えてくるようです。そして、城本体の石垣にたどり着いたら、ぜひ角の一点や岩盤の迫力を目で追ってみてください。ゴツゴツの石たち、その美しさもズレもクセも全部抱きしめたくなるほどのときめき…石垣ひとつひとつに愛情が芽生えちゃいます。
地図やガイドを見なくても、足と目だけでたどれる甲府城の歴史と美。都市の喧騒の中にひっそりと佇む石垣の姿を、自分の目で確かめに行ってみてください。
まち歩きの新しい楽しみが、ここにあります。
まち巡りマップ(石垣編)

佐賀 桃子
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